にきび
にきび

にきび(尋常性ざ瘡)は、思春期から成人まで幅広い年代にみられる、非常に身近な皮膚疾患です。主な原因は、皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり(角化異常)、アクネ菌(Cutibacterium acnes)の増殖、炎症が複雑に関与することとされています。 毛穴に皮脂がたまり「面皰(めんぽう)」と呼ばれる状態になると、そこを栄養源としてアクネ菌が増殖し、炎症を起こすことで赤く腫れたにきびへと進行します。適切な治療を行わずに放置すると、炎症が深くなり、にきび跡(赤み・色素沈着・凹凸)として残ることがあるため、早期治療が重要です。 近年のガイドラインでは、「にきびは早い段階から皮膚科で治療する疾患」と位置づけられており、初期の軽い症状からでも医療機関での治療が推奨されています。
にきびの発症には、以下の要因が関与します。
これらに加え、ストレス、睡眠不足、食生活の乱れ、紫外線、マスクや摩擦、不適切なスキンケアなどの生活習慣が悪化要因となることもあります。過度な洗顔や強いこすり洗いは、皮膚のバリア機能を低下させ、かえってにきびを悪化させる原因となるため注意が必要です。
にきびは段階的に進行します。
1
白にきび・黒にきび(面疱)
毛穴が詰まり、皮脂がたまった初期段階。自覚症状は少ないものの、治療開始が最も重要な時期です。
2
赤にきび(紅色丘疹)
アクネ菌の増殖により炎症が起こり、赤く腫れた状態。放置すると悪化しやすくなります。
3
黄にきび(膿疱)
炎症が進行し、膿をもった状態。無理につぶすと瘢痕形成の原因となります。
4
にきび跡
炎症後に赤み、色素沈着、皮膚の凹凸(クレーター)を残すことがあります。
にきびは主に視診により診断します。発症時期、使用しているスキンケアや薬剤、生活習慣、女性の場合は月経周期などを確認し、皮疹が毛穴に一致しているかを評価します。通常、特別な検査は不要ですが、重症例や他疾患が疑われる場合には追加検査を行うことがあります。
炎症を早期に抑えることが、にきび跡予防の最も重要なポイントです。
毛穴に詰まった角質を正常化し、面皰(白にきび・黒にきび)を改善します。にきびの初期段階から使用される基礎治療薬です。
皮脂や毛穴の詰まりに作用するほか、アクネ菌に対しての抗菌作用もあります。また、耐性菌ができにくい特徴があり、維持療法にも有用とされています。
炎症性のにきびに対しては、外用抗菌薬を短期間併用することがあります。ただし、耐性菌の抑制の観点から、抗菌薬単独使用は推奨されず、他の外用薬と組み合わせて使います。
アクネ菌に対する殺菌作用と面疱改善作用で、炎症性にきびに対し効果を発揮します。
炎症性にきび、面疱の双方に有効です。維持期に使用することで再発予防効果も期待できます。
赤にきびや黄にきびが多数見られる場合や、背中や胸など外用薬だけでは治療が難しい部位には、抗菌薬の内服(ルリッド、ミノマイシンなど)を短期間併用することがあります。抗生剤を長期間使用すると、耐性菌(薬が効かない菌)の出現や副作用のリスクが高まるため、漫然とした継続は行いません。
体質や生活習慣の影響が大きい場合には、ビタミン内服薬を補助的に併用することがあります。ビタミン内服薬は、炎症を直接抑える主治療ではありませんが、皮脂分泌の調整、皮膚の代謝改善、炎症の補助的抑制などを目的に使用されます。
皮脂の分泌調整や皮膚の新陳代謝に関与します。皮脂分泌が多い方に用いられることがあります。
皮脂腺の働きを整える作用があり、ビタミンB2と併用されることが多いビタミンです。
抗酸化作用があり、炎症後の赤みや色素沈着の改善を補助する目的で用いられることがあります。
血行を促進し、皮膚の修復を助ける作用があります。他のビタミンと併用されることがあります。
顔の赤みが強く、炎症性にきびが目立つ場合に用いられます。比較的体力があり、皮脂分泌が多いタイプに適しています。
慢性的ににきびを繰り返す場合や、化膿しやすいにきびに用いられます。鼻炎や扁桃炎などを併発しやすい方に使われることもあります。
炎症を抑える作用があり、赤にきびや膿疱に用いられることがあります。比較的体力中等度の方に使用されます。
血行不良やホルモンバランスの乱れが関与するにきびに用いられます。月経不順や下腹部の冷えを伴う場合に適することがあります。
面皰圧出とは、毛穴に詰まった皮脂や角質を専用の器具を用いて押し出す処置です。白にきびや黒にきびなど、炎症が起こる前の段階のにきびに対して行われます。毛穴の詰まりを直接取り除くことで、炎症性にきびへの進行やにきび跡を防ぐ効果が期待できます。
赤にきびが主体の場合や、炎症後の赤みが長引いている場合は赤外線治療を併用します。赤外線は皮膚の比較的深い部分まで到達し、局所の温熱作用によって血管を拡張させ、炎症部位の循環を改善します。
標準治療(外用薬・内服治療)を補助する治療法として位置づけられています。毛穴の詰まりを取り除くことで、炎症性にきびへの進行やにきび跡を防ぐ効果が期待できます。また、皮脂分泌の調整、肌のターンオーバー促進の作用もあります。2~4週間に1回行い、5~10回程度を目安に経過をみます。効果の感じ方には個人差があり、一度で劇的に改善するものではありません。施術後に赤み、ヒリヒリ感、乾燥を感じることもあります。
角質層に選択的に作用し、刺激が比較的少ないのが特徴です。日本では医療機関で広く使用されており、にきび肌にも適しています。
角質剥離作用が比較的強く、毛穴詰まりやくすみの改善を目的に使用されます。肌質によっては刺激感が出ることがあります。当院では取り扱いしておりません。
にきびは「治療して終わり」ではなく、再発を防ぐ維持治療が重要な疾患です。当院では、患者様一人ひとりの肌状態や生活背景に合わせ、継続しやすい治療をご提案しています。