乾癬
乾癬

乾癬(かんせん)は、皮膚に赤く盛り上がった発疹(紅斑)と、その上に付着する銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ)を特徴とする、慢性的に経過する炎症性の皮膚疾患です。かゆみを伴うことも多く、頭皮、ひじ、ひざ、腰まわり、臀部など、衣服とこすれやすい場所に出やすい傾向があります。症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴で、「完治する病気」ではありませんが、現在では治療法が大きく進歩しており、症状をしっかりと抑えて日常生活を快適に送ることが可能になってきています。
乾癬は見た目の変化が大きいため、誤解や偏見を持たれることがありますが、他の人には感染しない病気です。また、乾癬は皮膚だけの病気ではなく、関節炎(乾癬性関節炎)や爪の変形を伴う場合があり、メタボリックシンドロームや糖尿病、脂質異常症、心血管疾患との関連も指摘されており、全身疾患のひとつとして考えられています。
乾癬のはっきりとした原因はまだ解明されていませんが、遺伝的要因と環境要因が複雑に関与して発症すると考えられています。
家族に乾癬の方がいる場合、発症しやすくなることが知られています。特定のHLA遺伝子との関連も報告されていますが、遺伝的素因があっても必ず発症するわけではありません。
本来体を守る免疫が過剰に働き、皮膚の細胞が通常より早く増えすぎてしまうことで、赤みや厚み、鱗屑が形成されます。IL-17やIL-23といったサイトカイン(免疫を調整する物質)が関係しており、これらを標的にした新しい治療薬も登場しています。
乾癬では、境界がはっきりした赤い盛り上がりに、銀白色の鱗屑が重なる典型的な皮疹がみられます。無理に剥がすと点状の出血を認めることがあり(アウスピッツ現象)、診断の参考になります。症状は慢性的に経過し、冬など乾燥する季節に悪化しやすい傾向があります。
さらに、爪の変形(点状陥凹・肥厚・変色)や関節の腫れや痛み(乾癬性関節炎)を伴う場合もあり、早期診断と適切な治療が重要です。
これらに心当たりがあれば、乾癬の可能性があります。一度ご相談ください。
乾癬の診断は主に視診で行います。症状や経過、家族歴、生活背景なども参考にします。典型的でない場合には、専用の器具で皮膚の一部を採取して検査(皮膚生検)を行うことがあります。
気をつけることで、症状の安定につながります。
乾癬治療の基本となる治療です。
炎症を抑え、赤みやかゆみを軽減します。
皮膚の過剰な増殖を抑える作用があります。
使いやすく効果も安定しているため、近年よく用いられています。
炎症性サイトカインを低下させて皮膚の炎症を抑えたり、皮膚バリア機能を改善させる作用があります。
当院でも対応可能な治療です。
紫外線の中でも有効性が高く安全性の高い波長を照射し、皮膚の炎症を抑えます。
限局した病変に対して集中的に照射する治療で、特に部分的な乾癬に効果的です。
軽〜中等症の乾癬に使用されます。服用初期に下痢、吐き気、頭痛などが起こることがあります。
皮膚の角化異常を抑えます。催奇形性、肝機能悪化に注意が必要です。
比較的速やかな効果が期待できますが、腎機能・血圧管理が必要です。
過剰な免疫反応を抑えます。感染症に注意が必要です。当院では取り扱っておりません。
中等症〜重症乾癬に用いられる注射薬で、TNF-α、IL-17、IL-23など、乾癬の炎症の中心となるサイトカインを標的にした治療です。従来治療で十分な効果が得られなかった患者様においても高い有効性が期待でき、生活の質(QOL)改善に大きく貢献しています。当院では取り扱っていないため、対象となる患者様は基幹病院に紹介させていただきます。
乾癬は外見の変化だけでなく、心の負担を伴うことも多い病気です。しかし、現在は多くの治療選択肢があり、「うまく付き合っていくことができる病気」です。症状でお困りの方、治療に悩んでいる方は、一人で抱え込まず、ぜひご相談ください。患者様一人ひとりに合った治療をご提案いたします。